なんていい加減な! by M.N

偉人は思想・アイデアを、平均は出来事を、愚か者は他人について語る E.ルーズベルト

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科学的思考

イグノーベル賞を馬鹿にしてはいけない

2015年09月22日 · コメント(5) · 日本の文化, 科学的思考

イグノーベル賞というものがあります。「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる賞で、1991年に創設されたそうです。そして日本はこの賞の受賞者が多く、今年も「キスはアトピー性皮膚炎を改善させる」という大阪の開業医の研究に与えられました。

この賞は例えば「人がガムを噛んでいるときに、ガムの味によって脳波はどう変わるのか」というような研究をした人も受賞しています。そして今年、日本人は9年連続での受賞を果たしました。

バカバカしくて、お遊びのように思えるでしょうが、私は「真剣」にこの賞を受賞する日本人が多くてうれしいです。本家のノーベル賞と同じくらいうれしいです。日本人の国民性はまじめで完ぺき主義にあると思っているのですが、その一方で柔軟で独創的で、他人がどう思おうがどうでもいい、という人々も必要としています。そのような多様性とそれを受け入れる土壌があって、はじめて新しい世界を作ることができると思うからです。

国民全体が奇抜でもいけないし、全員が堅物でもいけません。理想は99%がまじめに、1%が「何を考えているのかかわからない」人がいる社会ではないでしょうか。

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きっかけは間接的なことが多い

2015年08月18日 · コメント(3) · 思いで, 未分類, 科学的思考

まだMS-DOSが全盛期だったころの話です。昔話のようですが、普遍性のあることなのでお赦し下さい。

当時私の会社では在庫管理を表計算ソフトで行なっていました。そのソフトは・・・自社で開発したものです。そう、世の中で一から表計算ソフトを作った会社はあまりないかと思います。そしてその開発過程を簡単に書きます。

当時私は電卓を作ろうと思っていました。ただし普通の電卓ではなくて例えば「3*(2+4)+5/8」というように数式を入れるタイプです。これは結構難しく、プログラムは四則演算の順番を考慮しなくてはなりません。そしてそれなりに苦労をして独自の計算機を作りました。もちろんPCで動く計算機です。

そして思ったのです。

なんだ、この計算機を各「セル」に載せれば表計算ソフトができるじゃないか!

後は興味の向くままです。(実際はメモリの管理などそれなりの工夫が必要ですが、計算機の完成で表計算の全体像は見えたのです)

そして思うのです。何か新しいものを作る時、そのきっかけになるのはもっと小さいことであることが多いのではないかと。傍から見ると電卓、計算機と表計算の機能の違いは大きいけれど、私からすると四則演算の規則に準じた電卓ができれば表計算を作ることは簡単だったのです。

そんな思い出話でした。でも普遍的な話だと思います。

 

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常識は間違っているかもしれない

2015年08月02日 · コメント(7) · 科学的思考

先日あるタレントが牛乳が体に悪いと発言し、騒がれたそうです。そこで調べたら、面白いことがわかりました。

  1. 牛乳を多く取る人は、死亡率が高い
  2. 女性に限っては骨折する頻度も高まる

この研究はスウェーデンで行われ、権威ある学術誌に2014年、掲載されました。

この研究が正しいかそうでないかは別にして、常識とは違うという点が私の興味を引きました。とくに2が本当であるならば、私にとっては衝撃です。

「当たり前だ」とか「常識だ」は何の解答にもなっていない、と常に思うようにしたいものです。

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昔聞いた話と新国立競技場

2015年07月20日 · コメント(5) · 科学的思考

以前このブログでも何回か書いたことがある内藤子生博士から聞いた話です。内藤博士は1912年生まれで、終戦時33歳でした。当時航空機そのものがまだ若い産業だったこともあり、技術者の平均年齢もかなり若かったはずです。内藤博士も既に主翼の設計を任されいくつかの名機開発に携わっていました、そんな時代です。ですから内藤博士の一世代前の技術者たちは「複葉機」の設計に携わっていたことになります。

名前は覚えていないのですが、そんな一世代前の技術者に大学を卒業せずに主任設計技師を務めた方がいました。本人曰く高校(一高)卒業時に「自分に航空工学を教えられる人はいない」といっていたそうです。そんな技術者の作品について

あの脚(固定脚)の構造的な美しさには感動した

別の機会に戦時中に開発されたある戦闘機の話がでました。当時民間の製造メーカー以外でも例えば「海軍航空技術廠」と呼ばれているような軍所属の研究機関でも戦闘機は開発されていました。その戦闘機もそのうちの一つです。

実に美しい外見であったが、構造が複雑で実用的でなかった。
学者らしい作りだった

実は個人的にその戦闘機を設計した方の著された本は当時私の「バイブル」だったので、心の中で少し反発しました。しかし今思うと納得できる話です。そして「新国立競技場」の話とダブルのでした。


以下、コメントにも書いたビデオを追加しました

内藤先生が登場するビデオです(28:50秒あたり。モバイルの場合はここの13:50あたり

 

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やはり偶然だけではない

2015年07月08日 · コメント(0) · 科学的思考

先日科学雑誌を読んでいたら、「慢性疲労症候群」の治療方法でブレークスルーがあった、とうい記事を見つけました。この病気は原因不明で、疲労感や筋肉の痛みを伴うそうです。原因不明のため怠けているだけだろう、という心理的な病との説もあったそうです。

その記事によれば悪性リンパ腫や慢性関節病の治療薬で3分の2の患者がほぼ完治した、ということです。偶然の発見だったそうです。

しかし別の記事を読んでみて以下のことがわかりました。ノルウェーの医師が悪性リンパ腫の患者を治療したら同時に慢性疲労症候群の症状が消えたことに気が付きました。2004年のことです。そして10年余りの地道な研究で、この治療薬が他の患者でも効果があることがわかってきたのです。もちろん試しに投薬してみたらというレベルではありません。

はじめの1例は偶然でしたが、それに気がついてさらに詳細な研究をしていったこの研究者は運がよかっただけではありません。偶然だけではダメなわけです。

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閏年、閏秒を考える

2015年07月04日 · コメント(3) · 科学的思考

先日閏秒が話題になりました。これは現在定義されている時間と地球の天体的な動きに微妙な誤差がある為に行いました。例えば4年に1回の閏年がなければ、おおよそ1年で4分の1日季節と暦がずれます。冬至が年によって暦の上で前後するのもこれが理由です。閏年で補正しないと約365x4÷2=730年で夏と冬が逆転します。

ということはそもそも時間(時の間隔)の定義がおかしかったわけです。

今の一秒間を1.000684932倍の長さにするとこの補正がほとんど必要なくなります。そう、閏年をなくす方法がここにあったのです!大発見だ!

社会的にはほとんど混乱しないでしょう。

  • 最近のPCは自動で時間を補正します
  • 生産済みの時計は少し遅れるようになります。1年で約6時間
  • 科学者たちは「科学的1秒」ということで従来の時間を使えば問題ないです

と書いていてある事実に気が付きました。そうではない!そうではありません。そんなことをしたら日の出の時間が大幅にズレることになります!

おバカな話でした。

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ガソリン対バッテリー

2015年06月22日 · コメント(1) · 科学的思考

エネルギー密度(単位質量あたりに蓄積されているエネルギー)を比べると、ガソリンはバッテリーと比べて遥かに効率がいいです。おおよそガソリンはリチウムイオン電池の30分の1の質量で同じエネルギーを出すことが可能です。

・・・・という視点で見ると現時点ではガソリンがまだまだ有利です。当然再利用するとか、実際にエネルギーを購入するときの価格は別で、エネルギー密度という偏った視点から見た場合の結論です。しかし、これは一つの目安になります。そう、同じ質量でガソリンと同じだけのエネルギーを蓄えられる電池が開発されれば、世の中は間違いなく一気に電気自動車へ移行するでしょう。

ということで、今日は物理的な視点で今後の展開を予測していみました。

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ちょっとしたきっかけ

2015年05月20日 · コメント(4) · 科学的思考

私がまだ10代だったころ、ベッドの枕元には小さな蛍光灯がありました。ところがある日、スイッチを入れても点かなくなりました。真夜中で真っ暗な中、私は当時かたみ離さずに持っていた腕時計(デジタル)の「ランプ」で時間を確認しました。するとどうでしょう、その瞬間に蛍光灯が灯ったのです。

その偶然は何回も続き、もはや偶然ではなくなったのです。そして実験の結果以下のことがわかりました。

  1. 蛍光灯が一度灯り、温まっているときには問題なくオンオフができる
  2. 真夜中、光が一切ないときにだけ時計の小さなランプがきっかけとなり蛍光灯が灯る

その後物理を勉強してこれがおそらく「光電効果」という物理現象によるものだとわかりました。

  • 蛍光灯のグローランプが劣化していた
  • 低温かつ暗闇という条件でのみグローランプが動作しない
  • 小さなランプの光がグローランプにあたり、光(光子)により電子が蹴飛ばされ、それがきっかけで放電がはじまりグローランプが動作する

このように小さな小さなきっかけで大きな現象(結果)に繋がることがあるのです。

前々回の偶然の話のコメント欄で超能力者の話がでましたが、壊れている時計を握りしめて温めると、動き出すこともあるわけです。

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情報を集める

2015年05月10日 · コメント(1) · 思いで, 科学的思考

最近もいくつか話題になっていますが、ドキュメンタリや報道番組で「やらせ」が度々あります。文字通り「やらせ」ですから事実ではなく、演出が番組に組み込まれています。しかしよく考えればやらせではなくても演出やそれに準ずるものはどのような番組にもあります。いくつか経験を話しましょう。

  • 「人間はコンピュータに支配されるか」という番組のインタビューを受けた時に「そんなことはありえません!」と自信をもって答えたら、私のシーンは採用されませんでした。番組を見ると「支配される」という前提での展開でした。
  • IT業界の労働条件が厳しいというテーマの報道番組の取材で、「残業をしていて眠くなったらどうしますか」と聞かれ、「寝ます!」と答えたら、ディレクタから「一番忙しい時を想定して答えて下さい」というアドバイス。それでも「私の場合は眠いと作業効率が下がるので寝ます」と答えました。すると後ろで「使えねーな」というディレクターの声・・・

放映されなかったのですから両者共にやらせはありませんでした。しかし番組作りというのはこういうもので、目的にあった情報を積極的に探して構成を考えるものです。

でも非難はできません。私達だって自分の考えを裏付ける情報を積極的に探し、満足しています。例えば原発関連のことであってもそうです。自分が考えている結論に有利な情報を積極的に探し求めるものです。そこには冷静さや科学的な根拠はありません。

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神は存在するか

2015年03月10日 · コメント(2) · 教養講座, 科学的思考

「神は存在するか」などというと宗教の話に聞こえるかもしれませんが、もちろんそういう話ではありません。世の中には決して知ることができない「世界」がある、ということをわかりやすい言葉で表現しただけです。ここではそれを「神」と呼ぶことにします。

例えば宇宙の起源について物理学者は観測と矛盾のない理論を構築しています。しかしその理論が正しいとして、「誰」が「どのようにして」その法則に沿った世界を構築したのでしょうか。もちろんその理由を知ることは科学ではありません。科学は観測の事実を整理してその中で説明するものです。科学者はそのようなことは十分理解しています。しかし、でも、どうしてこの世の中を支配している法則がシンプルで美しいのだろうか、と考えてしまうこともあるでしょう。確信に迫るほど科学者は不思議な気持ちになるはずです。

例えば光の屈折について考えてみます。

光の屈折

光の屈折

空気中のaから光が水中に向かい、bへ進むとします。そのとき光は水面で曲がります。これが「屈折」と呼ばれている現象です。物理学者はこの現象について次のことを発見しました。

ab 間を進む光は、移動時間が最小になるような経路を通る
ファルマーの原理

もし水がなく、空気中の移動であれば直線がその経路です。直線は移動時間を最小にします。しかし水があると直線が必ずしも最短の経路ではなくなります。理由は「光は水中をゆっくり進む」からです。直線を進むと光の速度が遅くなる水中を長い距離移動しなくてはならず、移動時間は最短ではなくなります。一方、水中を進む距離を最小にすると(図の右にあるグレーの線)、今度は全体の移動距離が長くなってしまいます。

ということは「最短=移動時間が最小」となる経路は、図でいうところの黒の線あたりとなり、実際に屈折した経路は光の移動時間が最小になるものです。

ab間を結ぶ経路は無数にあるのに、実際の経路は移動時間が最小になるものなのです!!!

この例以外にも「ある物理量(屈折では移動時間)が極小値または極大値」を取ることが他にもたくさんあります。繰り返しますが、物理学者はなぜそうなるのか、までは考えません。「誰」がそのような法則を作ったのかも問いません。実験事実、観測に基づいて論理的に矛盾のない法則を見つけるだけです。しかしその法則には私達を魅了する不思議な世界があります。

 

おまけ(1):鏡で光は反射します。Aを出た光が鏡に当たり、反射してBを通る経路は、無数考えられます。移動時間が最小になるのは、空気中で光の速度はどこでも同じなので、入射角と反射角が等しい経路です。

おまけ(2):光が逆、すなわちbからaへ進んだとしても、経路はかわりません。理由は方向が逆でも移動時間は変わらないからです。(もちろん反射の場合も同じ)

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