私の知人がサンルーフ付きのフォードマスタングを持っていました。ある時彼が酒を飲んでいたので自宅まで私が運転をしました。すると彼はサンルーフを開け、頭を出したのです。そして叫びました。
い、息ができない!
時速50kmでも風圧はかなりあり、息が出来なくなるほどです。ですから時速900kmで飛ぶジェット機の場合、どれだけの空気抵抗があるかある程度想像できるでしょう。ちなみに空気抵抗は速度の2乗に比例します。(時速100kmでの空気抵抗は時速50kmのときのそれの4倍です)
そこで飛行機は空気抵抗を減らすために高い高度を飛ぶようにします。高度が高くなると気圧が下がり、空気の密度も減って抵抗が減るからです。空気抵抗は密度に比例するので、半分の密度(おおよそ半分の気圧)にあると抵抗も半分になります。
ところがどっこい、高度が高くなると空気抵抗が減るだけでなく揚力(浮く力)も減ります。ですからそれなりの速度を保つ必要が出てきます。
例えば高度15kmの上空を対地速度900kmで飛行しているとしましょう。地上付近では時速300kmで飛行できる場合でも空気密度が低いので時速850kmを保たなければならないようなこともあるのです。(これらの数字は適当ですが、的外れでもありません)
ですから高高度を飛行する場合、パイロットは緊張します。少し速度を落とすと失速(高度を保てなくなる状態)して急激に高度を失うことがあるからです。そういうわけで空気が薄い上空を飛ぶというのは、結構お大変なのです。簡単にはいかないのです。
私のその知人もエベレストの上でサンルーフから首を出せが・・・・やっぱり酸素は回らないか。
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